大腸内視鏡検査後の食事について食べてよい食品・控えた方が良い食品と注意点

大腸内視鏡検査後の食事について食べてよい食品・控えた方が良い食品と注意点

大腸内視鏡検査の後は、腸が一時的にデリケートな状態になるため、食事や生活面での注意が欠かせません。

とくにポリープ切除などの処置を受けた場合、誤った行動が再出血や合併症の原因となることもあります。

その点、消化にやさしい食材選びや適切な入浴・運動制限などを意識することで、腸の回復を安全に促すことができるのです。

この記事では、以下の点をわかりやすく解説しています。

  • 大腸内視鏡検査後に食べても良い食品・控えるべき食品
  • 食後の体調悪化を防ぐ食事の注意点6つ
  • ポリープ切除後の生活面での具体的な注意点とその理由

腸を守るために、適切な食生活と無理のない行動が回復の鍵となります。

錦織 英知 先生
監修医師
錦織 英知先生(えさか駅前にしごりおなかとおしりのクリニック)
国立がん研究センター東病院 大腸骨盤外科にて、最先端の大腸・直腸がん手術に多数従事。その後、神戸の神鋼記念病院にて大腸外科医として活躍し、数多くの大腸・直腸がん手術を担当。さらに、大腸・直腸と密接に関わる「排便障害(便秘や便漏れなど)」に対する専門外来を立ち上げ、幅広い患者さんの診療にあたる。

大腸内視鏡検査後に食べても良いもの・控えた方が良いもの

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大腸内視鏡検査後は、体調に問題がなければ特に食事制限はありません。

ただし検査でポリープの切除や組織採取が行われた場合は、腸の粘膜がダメージを受けている状態のため、食事内容に注意が必要です。

特に検査当日は胃腸が空の状態であり、いきなり重たいものを食べると消化器に負担がかかるおそれがあります。

そのため、検査直後から数日は、消化がよく腸に刺激を与えない食材を中心にした食事を意識することが大切です。

ここでは大腸内視鏡検査後に食べても良い食品と、避けた方が良い食品について具体的に解説します。

大腸内視鏡検査後に食べても良い食品

検査後、体調に問題がなければ徐々に食事を再開できますが、最初の食事は消化に良いものを選びましょう。

以下のような食品は腸への負担が少なく、安心して摂取できます。

ご飯・パン・麺類 白米、白がゆ、食パン、ロールパン、素うどん、そうめんなど
肉・魚介類 鶏ささみ、鶏むね肉(皮なし)、赤身肉、白身魚など
野菜類 かぼちゃ、大根、白菜、かぶ、ほうれん草、アボカドなど
果物類 バナナ、りんご(皮なし)など
その他 プリン、具なしゼリー、卵、卵豆腐、納豆、豆乳など

これらは消化に良く、腸の粘膜を刺激しにくい食品です。

特に温かい料理は胃腸への刺激が少ないため、冷たいものよりも優先的に選ぶとよいでしょう。

大腸内視鏡検査後に控えた方が食品

大腸内視鏡検査後に控えた方が良いものとして、消化が悪いものや腸を刺激しやすいものが挙げられます。

特にポリープ切除や組織採取を行った場合は出血や炎症のリスクがあるため、以下のような食品は控えましょう。

ご飯・パン・麺類 玄米、雑穀米、全粒粉パン、オートミール、ラーメン、焼きそば、パスタなど
肉・魚介類 豚バラ、ホルモン、サーモン、マグロ、イカ、タコ、ソーセージ、ベーコンなど
野菜類 ごぼう、れんこん、たけのこ、枝豆など
果物類 イチゴ、スイカ、ドライフルーツなど
その他 チーズ、バター、ケーキ、チョコレート、ナッツ類、アルコール、コーヒー、牛乳など

これらは腸の回復を妨げる可能性があるため、少なくとも検査当日から数日間は避けた方が安心です。

特にアルコールは出血を誘発するおそれがあるため、1週間程度控えるのが望ましいとされています。医師の指示に従いましょう。

大腸内視鏡検査後の食事の注意点

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大腸内視鏡検査後の食事の注意点として、以下の6つが挙げられます。

  • 消化に良い食事を選ぶ
  • 食物繊維や種を含むものは控える
  • 脂肪分・油分が多いものは控える
  • 食事量は控える
  • 刺激物は控える
  • 飲酒を控える

ここでは上記6つの注意点についてそれぞれ解説します。

消化に良い食事を選ぶ

検査後の腸はとても敏感になっているため、できる限り消化に良い食事を選ぶことが大切です。

前述したように、白粥やうどん、食パン、素うどん、よく煮た野菜や白身魚、鶏ささみ、豆腐、卵などが適しています。

また調理方法も重要で、煮る・茹でる・蒸すなど油を使わない方法で調理するとより安心です。

冷たいものや硬いものは胃腸に刺激となるため、避けることをおすすめします。

検査直後の1〜2日は、こうした胃腸にやさしい食事を選びましょう。

食物繊維や種を含むものは控える

食物繊維は健康に良いイメージがありますが、検査直後の腸には負担になる場合があります。

具体的にはごぼう、れんこん、たけのこ、きのこ、海藻、こんにゃくなどは避けた方が良いでしょう。

また果物や野菜の種も注意が必要です。

果物や野菜の種は腸内に残留する恐れがあり、出血や炎症の原因になることがあります。

トマトやキウイ、イチゴ、スイカなどの種のある果物は一時的に控えてください。

ポリープ切除をした場合は、最低でも3日〜1週間程度は食物繊維や種を避けた食事を心がけると安心です。

脂肪分・油分が多いものは控える

繰り返しになりますが、検査後の腸は非常にデリケートな状態です。

脂肪分や油分の多い食べ物は消化に時間がかかり、腸に負担をかけてしまうため避けましょう。

具体的には豚バラ肉や鶏皮付き肉、ソーセージ、ベーコン、サーモンやうなぎなど脂の多い魚類は控えるべきです。

また揚げ物全般(天ぷら、カツ、唐揚げなど)も腸への刺激が強いため控えるべきです。

バターやマーガリン、クリームを使用した洋菓子類、チョコレートなども避けるとよいでしょう。

自炊をする場合は油を極力使わず、蒸す・煮る・茹でるを基本とし、焼いたり炒めたりする場合も必要最低限の油で仕上げることが大切です。

腸の回復を最優先に考え、脂質の摂取を抑えた食事を意識しましょう。

食事量を控えめにする

大腸内視鏡検査後の食事では、内容だけでなく量にも注意が必要です。

検査によって腸内が空っぽになった状態で急に大量の食事を摂取すると、消化に大きな負担がかかってしまいます。

特に検査当日や翌日は、少量ずつゆっくりと食べることを意識しましょう。

また食べすぎは腹圧を高め、ポリープ切除部位の出血リスクにもつながる可能性があります。

普段よりも軽めの食事を1日数回に分けて摂るなど、無理のない方法で食事を再開すると良いでしょう。

刺激物は控える

検査後の腸は非常にデリケートな状態のため、香辛料や酸味の強い食材など、腸粘膜を刺激するような食品は控えるようにしましょう。

特に唐辛子や一味、七味、キムチ、わさび、にんにくなどの香辛料や、酢を多く使った料理は避けるべきです。

またカレーや麻婆豆腐のようなスパイスを多用した料理も、検査直後は控えることをおすすめします。

こうした刺激物は腸に炎症を引き起こしやすく、せっかく回復しつつある腸粘膜にダメージを与えてしまう可能性があります。

検査後3日間程度は刺激物を避け、胃腸にやさしい食事を意識して選びましょう。

飲酒を控える

大腸内視鏡検査後、特にポリープ切除や組織採取を行った場合は、アルコールの摂取を控えることが非常に重要です。

アルコールを飲むと血流が促進され、切除部位などから出血するリスクが高まります。

体調に問題がなくても腸内はまだ治癒途中であるため、最低でも3日〜1週間程度は禁酒するのが望ましいです。

さらにアルコールは消化器官を刺激し、腸の運動を活発にする作用もあるため、検査後のデリケートな腸には大きな負担となります。

晩酌の習慣がある方も、検査後しばらくは我慢し、腸がしっかりと回復するまで飲酒は控えましょう。

大腸内視鏡検査でポリープ切除した場合の生活面での注意点

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大腸内視鏡検査でポリープ切除した場合、生活面での注意点は以下の通りです。

注意事項 詳細
入浴は短時間で済ませる 初日はシャワーのみ。2日目以降も10分以内の短時間入浴にとどめる。湯船・サウナ・温泉は1週間程度控える。
腹圧のかかる運動を控える 筋トレ・ゴルフ・テニス・重い荷物などは避け、軽いウォーキング程度に留める。
旅行や出張は控える 術後1〜2週間は遠出を避ける。特に飛行機などは気圧の影響に注意。
異常症状があればすぐ受診 鮮血・腹痛・出血の繰り返しは、合併症の可能性があるため医療機関へ早急に相談。

このように、術後の過ごし方次第で合併症のリスクを大きく減らすことが可能です。

とくに、入浴や運動、移動などの日常的な行動にも気を配ることで、腸の回復を安全に促すことができます。

不安な症状が現れたときは、自己判断せず速やかに医療機関を受診しましょう。

大腸内視鏡検査後の飲食に関するよくある質問

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大腸内視鏡検査後の過ごし方に関するよくある質問をまとめました。

  • 大腸内視鏡検査後、いつから食べ始めていい?
  • 大腸内視鏡検査後はどのくらい食事制限が必要?
  • 大腸ポリープ切除後の飲酒はいつから大丈夫?
  • 大腸ポリープ切除後、翌日から仕事をしても良い?

ここでは上記4つの質問についてそれぞれ解説します。

大腸内視鏡検査後、いつから食べ始めていい?

大腸内視鏡検査後は、体調に問題がなければ少量の水分補給から再開し、通常通り食事をとることが可能です。

鎮静剤を使用している場合は、覚醒後1時間ほど経ってから、消化の良い食事を少量から食べ始めます。

ポリープ切除などの処置を行っていない場合は特別な制限なく普段通りの食事に戻しても問題ありませんが、いきなり脂っこい食事などを摂るのは避け、胃腸にやさしい食事から始めると安心です。

大腸内視鏡検査後はどのくらい食事制限が必要?

ポリープ切除をしていない場合は、検査当日でも体調を見ながら通常の食事に戻せます。

ただし腸内は空の状態になっているため、消化に良い食事を心がけましょう。

ポリープを切除した場合は、出血のリスクを抑えるために、少なくとも2〜3日は柔らかくて刺激の少ない食事を続けることが大切です。

処置の内容によっては、医師の指示により1週間程度の制限が必要になることもあります。

大腸ポリープ切除後の飲酒はいつから大丈夫?

ポリープを切除した場合は出血のリスクがあるため、飲酒は最低でも翌日までは控える必要があります。

体調が安定していれば、翌日から1日1合程度の軽い飲酒であれば許容されることもありますが、これはあくまで一般的な目安です。

過度な飲酒は再出血のリスクを高めるため、術後1週間程度は控えるのが理想的です。

まとめ

大腸内視鏡検査後の食事は、腸に負担をかけないためにも、消化の良いものを少量ずつ摂取することが大切です。

特にポリープを切除した場合は、出血などのリスクを避けるため、刺激物や脂っこい料理、飲酒などはしばらく控える必要があります。

また生活面でも運動や入浴、遠出などに注意が必要です。

体調をよく観察し、異変があればすぐに医療機関へ相談しましょう。

えさか駅前にしごりおなかとおしりのクリニックでは、大腸内視鏡検査を行っています。

鎮静剤・鎮痛剤などの使用により、苦痛や不安に配慮した検査が可能なため、内視鏡検査を検討中の方はぜひ当院の受診をご検討ください。

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