前日にお酒を飲んでしまったけど、大腸内視鏡検査は受けられるのだろうか…。
そんな不安を感じたときは、まず医療機関に相談することが最優先です。少量であれば問題ない場合もありますが、体調や飲酒量によっては検査の延期や影響が生じることもあるため、自己判断は避けるべきです。
本記事では、「うっかり飲んでしまった」方に向けて、検査への影響と適切な対応方法を詳しく解説しています。
◉本記事でわかること
- 前日に飲酒すると検査にどんな影響があるのか
- アルコールが脱水・頭痛・点滴トラブル・出血に与えるリスク
- 少量の飲酒なら問題ない可能性と判断の目安
- 医師への相談が必要な理由と伝えるべき情報
- よくある質問(何時まで?どれくらいなら?検査後の飲酒は?)
- 飲酒以外に前日に注意すべき飲食物の例と理由
検査を安全に受けるための判断材料として、正しい知識と行動を確認しておきましょう。
大腸内視鏡検査前日にお酒は基本的にNG

大腸内視鏡検査の前日は、原則としてアルコールの摂取は控えるべきとされています。
正確な検査結果を得るには腸内を清潔な状態にしておくことが重要で、そのためには前日の食事制限や下剤の内服が必須となります。
しかしアルコールを摂取すると、脱水症状が起こりやすくなり、下剤による影響がさらに強く出る可能性があるのです。
これにより当日の体調が不安定になり、検査の実施が困難になる恐れもあります。
またアルコールには腸の動きを活発にする作用があり、検査の安全性にも悪影響を及ぼします。
万全の体調で検査を受けるためにも、前日の飲酒は我慢しましょう。
大腸内視鏡検査前日にお酒をなるべく控えるべき理由

大腸内視鏡検査前日にお酒をなるべく控えるべき理由として、以下の4つが挙げられます。
- お酒の利尿作用と下剤の内服により脱水状態になる
- 頭痛やだるさを引き起こす恐れがある
- 点滴ルートの確保が難しくなる
- 検査中に出血しやすくなる
ここでは上記4つの理由についてそれぞれ解説します。
お酒の利尿作用と下剤の内服により脱水状態になる
アルコールには強い利尿作用があり、体内の水分を急速に排出する働きがあります。
これはアルコールが抗利尿ホルモンであるバソプレシンの分泌を抑制するためです。
その結果、腎臓での水分再吸収が行われず、尿量が増加して体内が脱水状態に傾きます。
大腸内視鏡検査当日は、約2リットルもの下剤を飲んで大腸を洗浄する必要があり、それだけでも体は脱水しやすい状態になります。
前日にアルコールを摂取してすでに水分が不足していると、下剤の影響でさらに脱水が進み、めまいや立ちくらみ、強いだるさなどの体調不良を引き起こす可能性があるのです。
これが原因で検査の実施が困難になったり、中止となったりすることもあります。
頭痛やだるさを引き起こす恐れがある
アルコールによる脱水状態が進行すると、体にさまざまな不調が現れることがあります。
代表的な症状としては、頭痛や全身のだるさ、めまいなどが挙げられます。
検査当日は下剤の服用によって頻回にトイレへ行くことになり、そのたびに水分が体外へ排出されるため、体力も消耗しがちです。
もし前日の飲酒によりすでに体が水分不足の状態であれば、これらの不快な症状が強く出る可能性があります。
実際に検査当日に「下剤を飲んだら頭が痛くなってきた」「体がだるくて起きていられない」などと訴える方もいます。
このような体調不良は、検査の進行を妨げるだけでなく、検査の中止や延期の原因にもなるため注意が必要です。
検査をスムーズに受けるためには、前日から体調管理を徹底し、飲酒は控えるようにしましょう。
点滴ルートの確保が難しくなる
大腸内視鏡検査では、検査中の鎮静剤投与や脱水予防のために点滴ルートを確保します。
しかし前日の飲酒によって体が脱水状態にあると、血管が収縮しやすくなり、点滴用のルート確保が難しくなってしまうことがあるのです。
これにより、鎮静剤を使用できず検査中の不快感が増すリスクもあります。
このようなトラブルを避けるためにも、前日の飲酒は控え、体調を整えたうえで検査に臨むことが大切です。
検査中に出血しやすくなる
アルコールには血管拡張作用があるため、飲酒後は血管が広がりやすくなります。
その結果、検査中にちょっとした刺激でも出血しやすくなるリスクが高まってしまうのです。
大腸内視鏡検査ではポリープの切除が行われることがあり、こうした処置の際に出血するリスクがあります。
特にアルコールが体内に残っている状態では、止血がしにくくなる場合もあります。
さらに腸の蠕動運動も活発化しやすいため、内視鏡の操作が難しくなり、検査に支障をきたす恐れもあるのです。
安全かつ正確な検査を受けるためにも、お酒は前日から完全に控えるようにしてください。
大腸内視鏡検査前日にお酒を飲んでしまったときは検査機関に相談する

前日にアルコールを摂取してしまった場合は、必ず検査を受ける医療機関に相談しましょう。
飲酒量や時間、現在の体調によって、検査が予定通りに実施できるかどうかが変わってくるため、医師による専門的な判断が必要です。
例えば粘膜の充血や腸の蠕動運動の変化など、アルコールの影響で内視鏡検査の所見に誤認が生じることがあります。
また脱水や頭痛などの体調不良があると、検査の途中で中断せざるを得ないことも考えられます。
医療機関に連絡する際は、正確な情報(何時にどれくらい飲んだか、現在の体調など)を伝えることが大切です。
医師はその情報をもとに、安全に検査を実施できるかどうかを判断します。
無理をして検査を受けるのではなく、日程変更も含めて柔軟に対応しましょう。
少量であれば問題ない場合もある
大腸内視鏡検査の前日にお酒を飲んでしまっても、少量であれば大きな問題にならない場合もあります。
アルコール代謝能力が平均的な方の場合、ビール350ml程度であれば翌朝までに代謝される可能性が高いとされています。
ただしこれはあくまで目安であり、アルコールの影響は個人差が大きいため一概には言えません。
日頃からお酒に弱い方や体調がすぐれない方は、少量であっても検査に影響が出る可能性があります。
また夜遅くに飲酒した場合は、朝までに代謝が追いつかないこともあります。
仮に少量でも飲酒してしまった場合は、水やスポーツドリンクなどでしっかりと水分補給をし、当日の体調を慎重に確認してください。
そして自己判断せずに医師に状況を報告することが大切です。
大腸内視鏡検査とお酒に関するよくある質問

大腸内視鏡検査とお酒に関するよくある質問をまとめました。
- 大腸内視鏡検査前日の何時までお酒を飲んでもいい?
- 大腸内視鏡検査前日に飲んでもいいお酒の種類・量は?
- 大腸検査2日前にお酒を飲んでも大丈夫?
- 大腸内視鏡検査後はいつからお酒を飲んでいい?
ここでは上記4つの質問についてそれぞれ解説します。
大腸内視鏡検査前日の何時までお酒を飲んでもいい?
検査前日の飲酒はなるべく控えるべきです。
どうしても飲む必要がある場合は、夜遅くまでの飲酒は避け、20時頃までにビール350ml程度にとどめておくのが無難です。
人間の体は1時間あたり約4gのアルコールを代謝できるとされており、夜12時に就寝し、翌朝6時に起床する場合であれば、最大でも24g程度のアルコールしか処理できません。
このアルコール量はビール500ml程度に相当します。
遅い時間の飲酒や大量摂取は翌朝までに体内からアルコールが抜けきらず、検査に支障をきたすリスクがあります。
とはいえ安全に検査を受けるためにも、飲酒は完全に控えるのがおすすめです。
大腸内視鏡検査前日に飲んでもいいお酒の種類・量は?
ビール、焼酎、日本酒、ワインなど、どのお酒でも摂りすぎれば問題になります。
アルコールに強く日頃から飲酒習慣がある方であっても、ビールなら500ml、一般的な体質の方なら350ml程度が限度です。
それ以上の量を摂取すると、翌日までアルコールが残ってしまい、検査に悪影響を及ぼす恐れがあるため注意しましょう。
大腸検査2日前にお酒を飲んでも大丈夫?
検査の2日前にお酒を飲むこと自体は、基本的には大きな問題はありません。
体内のアルコールは通常、数時間から十数時間で代謝されるため、前々日の飲酒が検査当日の腸の状態に直接影響を与える可能性は低いと考えられます。
ただし、お酒と一緒に食べるものには注意が必要です。
おつまみとして、脂質の多い食品やキノコ類・海藻・繊維の多い野菜などを多く摂取すると、下剤を飲んでも便が綺麗に排出されにくくなることがあります。
これによって腸の中が十分に観察できず、検査の精度が下がるリスクがあるのです。
検査2日前のお酒はOKでも、一緒に食べる食事はできるだけ消化に良いものを選ぶことが大切です。
水分も多めに摂るように心がけ、検査に向けて腸内環境を整えていきましょう。
大腸内視鏡検査後はいつからお酒を飲んでいい?
一般的には、検査後24時間はアルコールを控えるよう指示されることが多いです。
内視鏡検査後は一時的に消化器官の動きが鈍くなっていることが多く、アルコールを摂取することで胃腸に過度な負担をかけてしまう恐れがあります。
特に鎮静剤や麻酔薬を使用した場合は、その影響が数時間〜1日ほど残る可能性があり、アルコールとの相互作用でふらつきや頭痛、吐き気などの症状が出ることもあります。
またポリープ切除などの処置を受けた場合は、出血リスクの観点から数日間の禁酒を求められることもあるでしょう。
医師の指示に従うのはもちろん、自身で体調管理を徹底することも大切です。
大腸内視鏡検査前日に注意が必要な飲食物

大腸内視鏡検査前日に注意が必要な飲食物として、以下が挙げられます。
|
NG例 |
補足 |
コーヒー・紅茶 |
ミルク入り、砂糖入りのもの |
ブラックなら前日19時までOK |
牛乳・乳製品 |
牛乳、ヨーグルト、チーズ |
前日19時以降と検査当日は控える |
野菜ジュース・スムージー |
青汁、果肉入りジュース、線維が残る飲料 |
食物繊維が腸に残るため前日・当日ともに控える |
脂質の多いおやつ |
ポテトチップス、ドーナツ、ケーキ、チョコレートなど |
消化に時間がかかり検査に支障をきたすため控える |
消化に悪い食べ物 |
きのこ、海藻、豆類、こんにゃくなど |
線維が多く腸に残りやすいため控える |
野菜や果物の皮・種 |
キウイ、スイカ、イチゴ、トマトなど |
消化されにくく腸に残る可能性があるため控える |
これらの食品や飲み物は腸の中に残留しやすく、内視鏡検査の妨げになる可能性があります。
特に注意が必要なのは、スムージーや果肉入りジュースなど、飲み物として見落とされがちなものです。
これらには食物繊維が多く含まれているため、消化されずに腸内に残ってしまうケースがあります。
前日の食事はうどんや白米、おかゆなど、脂質や食物繊維の少ない消化の良いもの中心にしましょう。
食事内容に不安がある場合は、事前に医療機関へ確認するようにしましょう。
まとめ
大腸内視鏡検査の前日にお酒を飲んでしまった場合、自己判断でそのまま検査を受けるのは避け、まずは医療機関へ相談することが大切です。
アルコールは体質や量によって影響の度合いが異なり、場合によっては腸の状態や脱水リスクに関わる可能性があります。
飲酒してしまった場合も、冷静に対応すれば大きな問題に至らないこともあるため、不安な方は早めに医師へ相談しましょう。
えさか駅前にしごりおなかとおしりのクリニックでは、大腸内視鏡検査を行っています。
検査に関して不安なことがある場合は、ぜひ気軽にご相談ください。