大腸カメラの検査時間はどのくらい?検査の流れや時間がかかる要因について解説

大腸カメラの検査時間はどのくらい?検査の流れや時間がかかる要因について解説
錦織 英知 先生
監修医師
錦織 英知先生(えさか駅前にしごりおなかとおしりのクリニック)
国立がん研究センター東病院 大腸骨盤外科にて、最先端の大腸・直腸がん手術に多数従事。その後、神戸の神鋼記念病院にて大腸外科医として活躍し、数多くの大腸・直腸がん手術を担当。さらに、大腸・直腸と密接に関わる「排便障害(便秘や便漏れなど)」に対する専門外来を立ち上げ、幅広い患者さんの診療にあたる。

大腸カメラは、がんやポリープなどの病変を早期発見できる重要な検査です。しかし「検査にはどのくらい時間がかかるの?」「仕事を休む必要がある?」といった不安を抱く方も少なくありません。

実際の検査時間は約15〜30分程度といわれていますが、前処置や検査後の安静時間なども含めると、全体で半日〜1日かかることもあります。

本記事では、主に以下の内容について解説しています。

  • 大腸カメラ検査当日にかかる時間
  • 大腸カメラ検査の流れと所要時間
  • 大腸カメラ検査に時間がかかる要因
  • 大腸カメラ検査の時間に関するよくある質問

大腸カメラ検査当日にかかる時間は約6時間

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大腸カメラ検査当日にかかる時間は、全体で6時間程度を見込んでおく必要があります。

実際の検査時間自体は10〜20分程度で終了しますが、その前後の準備や休憩の時間がかかるため、半日以上を要するケースが多いです。

特に初めて受ける方は、検査当日は丸一日空けておくと安心でしょう。

大腸カメラ検査の流れと所要時間

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大腸カメラ検査の流れとそれぞれにかかる時間の目安は以下の通りです。

工程 所要時間の目安
検査予約 15~30分
検査前日 数時間(食事・下剤服用含む)
当日朝~来院・検査準備 約6~7時間
検査 約15~30分
検査後 約30~60分

ここでは上記についてそれぞれ解説します。

検査予約

大腸カメラ検査を受けるときは、まず事前に外来診察を受けて予約を行います。

診察では以下について医師から確認されます。

  • 現在の服薬状況
  • アレルギーの有無
  • 抗血栓薬の服用有無(※検査の中止が必要な場合もある)

また検査当日に服用すべき薬と中止すべき薬の説明や、下剤の服用方法なども丁寧に説明されます。

予約外来自体の所要時間は15~30分程度が目安ですが、診察の混雑状況や追加検査の有無により長引くこともあります。

検査前日

検査前日は、腸を空にするための準備が必要です。

大腸カメラ検査前日の準備

  • 朝から消化に良い食事を選ぶ
  • 夕食は21時までに済ませる
  • 医師から指示された下剤を服用

なお、水やお茶、スポーツドリンクなどの水分は夜間も摂取できますが、アルコールは控えましょう。

当日朝~来院・検査準備

検査当日は朝食は摂らず、指示された時間に自宅で腸管洗浄剤を1.5〜2リットルほど服用します。

便が透明な水のようになるまでに、服用開始から2〜4時間程度かかる場合が多いです。

排便が完了したら、指定された時間までに医療機関へ向かいます。

来院後は受付を済ませ、排便状況のチェック、着替え、点滴の準備などを行います。

この朝から検査前までの時間全体で5〜6時間程度を見込んでおくと良いでしょう。

検査

検査は内視鏡室で横になり、点滴を開始して鎮静剤や鎮痛剤が投与されてから始まります。

鎮静剤を使うことで、リラックスした状態で痛みを最小限に抑えつつ検査を受けることが可能です。

検査は観察のみであれば15分前後で終了しますが、ポリープの切除を同時に行う場合は、内容に応じて最大30分程度かかることもあります。

検査後

検査が終わったらそのままリカバリールームに移動し、鎮静剤が抜けるまで30分~1時間程度安静に過ごします。

回復後は医師から検査結果の説明があり、大腸がんやポリープの有無などが伝えられます。

ポリープを切除していなければ、結果説明は当日で終了です。

組織検査をした場合は、後日改めて来院が必要になります。

また鎮静剤を使用した場合は、検査当日は車の運転ができないため、公共交通機関や家族の送迎を利用しましょう。

特に問題がなければ、そのまま帰宅します。

前処置は自宅で行う場合と来院して行う場合がある

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前処置は自宅で行う場合と来院して行う場合があります。

それぞれのメリット・デメリットは以下の通りです。

自宅で行う場合 来院して行う場合
メリット
  • 自宅でリラックスしながら服用できる
  • トイレなどの設備が整っていて安心
  • 早朝から始めれば午前中に検査終了も可能
  • 院内滞在時間が短くなる
  • 医師や看護師のサポートがあり安心
  • 腹痛や吐き気が生じたときにすぐに対応できる
  • 排便の状態を客観的にチェックしてもらえる
  • 下剤の量を調整してもらえる
デメリット
  • 体調不良時に医師や看護師にすぐに相談できない
  • 便の状態を自己判断しなくてはいけない
  • 移動中に便意が起きる可能性がある
  • 院内で長時間過ごす必要がある
  • 他の患者さんと同室になる可能性がある
  • 検査時間が午後にずれ込むことが多い

自宅で行う場合と、来院して行う場合の違いについて、さらに詳しく解説します。

自宅で行う場合

自宅で行う前処置は、精神的に落ち着いた状態で進められる点がメリットです。

特にトイレに頻繁に行く必要がある下剤服用中は、慣れた自宅のトイレ環境が安心につながります。

しかし下剤による腹痛や気分不良などが起きた際に、医療スタッフにすぐに相談できないデメリットもあります。

移動の際の便意もネックとなるため、体調や通院距離を考慮して判断しましょう。

来院して行う場合

来院して前処置を行うメリット・デメリットは以下の通りです。

来院して前処置を行うことで、下剤の服用や排便状況の判断を医師や看護師がサポートしてくれます。

さらに万が一体調不良が生じても、すぐに適切な対応が可能な点も大きなメリットです。

ただし朝から院内で過ごす時間が長くなるため、時間に余裕を持って来院する必要があります。

また、人目や他の患者さんとの同室を気にする方は、少しストレスを感じる場合もあります。

大腸カメラ検査に時間がかかる要因

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大腸カメラ検査に時間がかかる要因は以下の7つが挙げられます。

  • 検査を行う医師や内視鏡室の数が少ない
  • 予約件数が多い
  • 内視鏡の挿入が困難
  • 医師の技術力による問題
  • 病変の観察や治療
  • 鎮静剤を使用している
  • 下剤の効果の違い

ここでは上記7つの要因についてそれぞれ解説します。

検査を行う医師や内視鏡室の数が少ない

大腸カメラ検査に時間がかかる要因の1つに、検査を担当できる医師や内視鏡室の数が限られていることが挙げられます。

医師が少ない場合、1人が複数の検査を担当しなければならず、検査と検査の間にどうしても時間が空いてしまうのです。

また内視鏡室が1部屋しかない病院では、同時に複数人の検査ができないため、前の患者さんの検査が長引くと後続の患者さんにも影響が出ます。

こうした設備や人員体制による制約は、特に午前中や人気の時間帯に集中する傾向があります。

検査予約が早い時間帯であっても、開始までに1時間以上待たされるケースもあるため、時間に余裕を持って受診しましょう。

予約件数が多い

大腸カメラ検査の予約が多いと、それだけ待ち時間や前処置の対応にも時間がかかります。

特に健診シーズンや午前中の枠に予約が集中すると、検査開始までの待機時間が長くなり、予定より大幅に遅れることもあります。

さらに予約数が多ければ、問診や準備、前処置の確認、リカバリールームの使用時間など、すべての工程において流れが滞りやすくなってしまうのです。

また、緊急性の高い症例が途中で挟まれる場合、通常予約の検査が後回しになることもあります。

内視鏡の挿入が困難

腸の形状や過去の手術歴、癒着の有無などにより、内視鏡の挿入が難しくなることがあります。

特に腸がねじれていたり、S状結腸などの屈曲が強かったりする部位がある場合には、カメラがうまく進まず、挿入に時間を要するケースがあるのです。

さらに過去に腹部の手術を受けている患者さんでは、腸管同士や腹膜との癒着が起こっていることがあり、それが障害となって内視鏡の進行が妨げられます。

このような場合、患者さんの苦痛を軽減するために慎重に進める必要があるため、検査全体の所要時間が延びてしまいます。

医師の技術力による問題

大腸カメラ検査では、医師の技術力が検査時間に大きく影響します。

内視鏡の操作に熟練していない医師が担当すると、腸の屈曲部での挿入に手間取ったり、無理な操作で痛みを誘発してしまうことがあります。

実績と経験が豊富な医師であれば、平均2〜3分で盲腸に到達し、患者さんに与える苦痛を抑えながら短時間で質の高い検査が可能です。

病院選びの際には、医師の経験年数も判断材料とするとよいでしょう。

病変の観察や治療

大腸カメラ検査では、単に腸の中を観察するだけでなく、必要に応じて治療を行う場合があります。

観察のみであれば15分程度で終わることが多いものの、ポリープが見つかるとその場で切除する処置が加わり、検査時間が大幅に延びることがあります。

また炎症や潰瘍などの病変がある場合も、詳しく観察したり生検を行ったりする必要があるため、検査時間が長くなりがちです。

鎮静剤を使用している

鎮静剤を使用した大腸カメラ検査は、痛みや不安を軽減できるという大きなメリットがありますが、所要時間が長くなる原因となります。

まず検査前に静脈路を確保して点滴を開始し、薬剤を投与する準備だけでも5〜10分ほどかかります。

そして何より重要なのが、検査後の経過観察です。

鎮静剤の影響が残っている間はすぐに帰宅できず、リカバリールームで30分~60分ほど安静に過ごし、意識がはっきり戻るまで待つ必要があります。

院内滞在時間が長くなるため、時間に余裕を持ってスケジュールを立てましょう。

下剤の効果の違い

大腸カメラ検査の前に腸内を綺麗にするために下剤を服用しますが、この下剤の効き具合には個人差があり、それが検査までの時間に大きく影響します。

便通がもともと良好な方であれば、2〜3時間ほどで腸がきれいになり、スムーズに検査へ移行できます。

しかし便秘がちの方や前日に食事制限が不十分だった方の場合、下剤が効きにくく、排便が進まずに時間がかかることがあるのです。

その場合は追加で下剤を服用したり、浣腸などの処置を行ったりする必要があり、検査開始まで5〜6時間以上かかることも珍しくありません。

大腸カメラ検査の時間に関するよくある質問

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大腸カメラ検査の時間に関するよくある質問をまとめました。

  • ポリープ切除を行った場合の検査にかかる時間は?
  • 日帰りでポリープ切除は可能?
  • 大腸カメラ検査後の注意点は?

ここでは上記3つの質問についてそれぞれ解説します。

ポリープ切除を行った場合の検査にかかる時間は?

ポリープの切除を行う際の検査時間は、ポリープの大きさや切除方法によって異なります。

ポリープの大きさ 切除方法 切除にかかる時間(目安)
2~3mm CFP法 約1~2分
4~10mm CSP法 約2~4分

また、複数のポリープがある場合や止血処置を要する場合は、さらに時間がかかることもあります。

ポリープ切除を行う場合は、観察のみの検査に比べて10〜20分程度、追加で見ておくとよいでしょう。

日帰りでポリープ切除は可能?

大腸カメラ検査と同時に行うポリープ切除は、基本的に日帰りで対応可能です。

多くの医療機関では、入院をせずに外来で切除を行い、当日に帰宅できる体制が整っています。

ただし、以下のケースは入院での切除をすすめられることがあります。

  • ポリープが大きい
  • 出血リスクが高い
  • 抗血栓薬を中止できない

必要に応じて高次医療機関での対応となることもあるため、診察時に相談しましょう。

大腸カメラ検査後の注意点は?

大腸カメラ検査後の注意点は以下の通りです。

  • 鎮静剤を使用した場合、当日の運転ができない(車、バイク、自転車など)
  • ポリープを切除した場合、香辛料や脂っこいもの、食物繊維が多い食材、アルコールなど刺激の強い食事を約10日間控える
  • 長風呂、激しい運動、旅行や出張は医師の指示に従って控える

検査後に万が一異常が現れた場合は、すぐ医療機関に連絡しましょう。

まとめ

大腸カメラ検査は、検査そのものは短時間で終わることが多いものの、全体の所要時間は6時間前後になる場合が多いです。

全体の流れを理解したうえで、時間に余裕を持ってスケジュールを立てましょう。

事前に医師の説明をよく聞き、安心して検査を受けられるように準備しておくことも大切です。

えさか駅前にしごりおなかとおしりのクリニックでは、内視鏡室を2室完備し、苦痛を極力軽減した大腸カメラを行っています。

日帰りでの大腸ポリープ切除にも対応しているため、大腸カメラを検討中の方はぜひ当院までご相談ください。

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