大腸内視鏡検査は、大腸がんやポリープの早期発見に欠かせない重要な検査です。しかし「大腸内視鏡検査は痛いのでは?」という不安から受診をためらってしまう人も少なくありません。
実際のところ、検査中に痛みを感じるかどうかには個人差があり、まったく痛みを感じない人もいれば強く痛む人もいます。
この記事では、大腸内視鏡検査で痛みを感じやすい人の特徴について解説します。検査中の痛みを軽減するための方法やよくある質問などもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
大腸内視鏡検査は、大腸がんやポリープの早期発見に欠かせない重要な検査です。しかし「大腸内視鏡検査は痛いのでは?」という不安から受診をためらってしまう人も少なくありません。
実際のところ、検査中に痛みを感じるかどうかには個人差があり、まったく痛みを感じない人もいれば強く痛む人もいます。
この記事では、大腸内視鏡検査で痛みを感じやすい人の特徴について解説します。検査中の痛みを軽減するための方法やよくある質問などもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
個人差はありますが、大腸内視鏡検査では痛みを感じることがあります。
以下の3つが主な原因です。
痛みの原因 | 内容 |
---|---|
大腸が引き伸ばされるため | 大腸はじゃばら状の構造をしており、内視鏡が屈曲部を通過する際に無理に引き伸ばされると、痛みを感じやすくなります。痩せ型や便秘傾向の人は腸が折りたたまれていることが多く、痛みを感じやすい傾向があります。 |
大腸がガスで膨らむため | 大腸内視鏡検査では腸内に空気やCO₂を注入します。このとき、腸が風船のように膨らむことで腸壁が引っ張られ、強い腹部の張りや痛みを引き起こすことがあるのです。特に腸が過敏な人はこのガスによる膨張に敏感に反応し、痛みを感じやすい傾向にあります。 |
大腸に癒着が生じているため | 過去の帝王切開や腹部手術、憩室炎などの影響で腸が他の臓器と癒着している場合、内視鏡が通過する際に無理な力が腸に加わることで痛みが生じます。鎮静剤を使うことで負担を減らすことが可能です。 |
これらの痛みはすべての人に生じるわけではありませんが、不安な場合は事前に医師に相談してみましょう。
鎮静剤の使用や挿入法などにより、痛みを軽減しながら検査を受けることが可能です。
大腸内視鏡検査が痛い人の特徴として、以下の6つが挙げられます。
ここでは上記6つの特徴についてそれぞれ解説します。
痩せている人や小柄体型の人は、大腸内視鏡検査で痛みを感じやすい傾向があります。
上記のような人はお腹のスペースが狭く、腸が密に折りたたまれているためです。
大腸はじゃばら状の構造をしており、体が小さい人では腸の屈曲が多く、急カーブが連続していることがあります。
そのため内視鏡がスムーズに進まず、無理に押し込むことで痛みが生じやすくなるのです。
特に女性や筋肉量が少ない人にこの傾向が多く見られます。
医師はこうした体型に配慮して検査を行いますが、鎮静剤の使用なども痛みの軽減に役立ちます。
過去に検査で強い痛みを感じた経験がある場合は、事前に医師へ相談しておくと安心です。
潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患を持っている人は、大腸内視鏡検査で強い痛みを感じることがあります。
これらの病気では腸管に炎症があるため、内視鏡が接触するだけでも敏感に反応してしまうのです。
また炎症によって腸の内腔が狭くなっていることもあり、スコープの通過が難しくなることで痛みが生じやすくなります。
さらにこうした患者さんは腸の神経も過敏になっているため、通常よりも痛みを感じやすいです。
安全に検査を行うためにも、炎症の状態や現在の治療状況を正確に医師に伝えることが大切です。
腸の神経が過敏な人は、大腸内視鏡検査の際に痛みを感じやすい傾向にあります。
過敏性腸症候群や炎症性腸疾患のある人に多く見られる傾向で、腸に通常の刺激が加わるだけでも痛みとして強く感じてしまうことがあります。
例えば内視鏡が腸壁に軽く触れるだけでも、不快感や痛みが強く出るケースがあるのです。
また緊張やストレスも神経過敏を悪化させる要因です。
このような人は、検査前に不安や緊張をやわらげる工夫を行うことが大切です。
自覚症状がある場合は、事前に医師に相談しておくことで、より安心して検査を受けられるでしょう。
慢性的に便秘気味な人も、大腸内視鏡検査で痛みを感じやすい傾向にあります。
便秘の人は腸の中に便が長時間とどまっていたり、ガスがたまりやすかったりするため、腸が硬くなったり膨張しやすくなったりしています。
そのため内視鏡を挿入する際にスムーズに進みにくく、無理な圧力が腸壁にかかって痛みを引き起こすことがあるのです。
また便秘の人は腸が長かったりねじれていたりするケースも多く、屈曲部での痛みも起こりやすくなります。
医師に便秘の状態を伝えることで、前処置の調整や鎮静の有無など、痛みに配慮した検査が可能になります。
便秘の方には、便秘の程度に応じた前処置薬を選択し内服いただくように配慮しています。
過去に腹部の手術を経験している人は、大腸内視鏡検査で痛みを感じやすい傾向があります。
手術の種類にかかわらず、腹部を切開することで腸と他の臓器の間に癒着が生じることがあり、この癒着がスコープの通過を妨げる要因となります。
特に帝王切開や婦人科手術、胃や胆のうの手術などでは癒着のリスクが高まりやすいです。
内視鏡が腸の折れ曲がった部分を通過する際に、通常以上の力がかかりやすく、その結果痛みが出ることがあります。
癒着があることは外からはわかりにくいため、医師には事前に手術歴を詳しく伝えておくことが大切です。
検査に対して不安を強く感じたり、緊張したりしやすい人も、大腸内視鏡検査で痛みを感じやすい傾向があります。
緊張すると全身の筋肉が硬くなり、腸も同様に収縮しやすくなります。
その結果、内視鏡が通る際に腸が抵抗しやすくなり、スムーズに挿入できなくなることで痛みが発生するのです。
さらに緊張状態では痛みに対する感受性も高まり、小さな刺激でも強い痛みとして感じることがあります。
そのためリラックスした状態で検査に臨むことが大切です。
病院によっては希望すれば鎮静剤を使用できる場合もあります。
大腸内視鏡検査の痛みを軽減する方法として、以下の5つが挙げられます。
ここでは上記5つの方法についてそれぞれ解説します。
大腸内視鏡検査の痛みを軽減する最も一般的な方法が、鎮静剤の使用です。
検査前に鎮静剤(静脈麻酔)を投与することで、うとうとした状態で検査を受けられるようになり、痛みや不安感が緩和されます。
痛みだけでなく、検査に対する恐怖心や緊張感もやわらげられるため、過去に検査でつらい経験をした人にも有効です。
ただしアレルギーがある人や高齢者・基礎疾患がある人など、使用に際し注意が必要な場合や使用できない場合もあるため、事前に医師に相談しましょう。
検査時の痛みを軽減する方法として、痛みの少ない挿入法で検査を受けることが挙げられます。
近年では、腸に無理な力をかけずにスムーズに挿入できる『軸保持短縮法』や『水浸法』といった技術が用いられています。両者を比較すると以下の通りです。
項目 | 軸保持短縮法 | 水浸法 |
---|---|---|
概要 | 腸のひだを縮めながら、腸管を伸ばさずに内視鏡を進める方法 | 空気の代わりに水を注入しながら内視鏡を進める方法 |
痛みの軽減効果 | 腸を引き伸ばさないため痛みが少ない | 水の圧力で腸が安定し、痛みや不快感を軽減 |
挿入のしやすさ | カーブを利用してまっすぐ進めるため、挿入がスムーズ | 水の流れに乗せて滑らせるように挿入可能 |
適している人 | 腸が屈曲しやすい痩せ型・便秘体質の人 | 腸が敏感な人や痛みに弱い人 |
補足 | 無送気軸保持短縮法と併用するとさらに快適 | 専門技術が必要なため、対応可能な医師・施設に限りがある |
どちらも痛みの少ない検査を実現するための高度な挿入技術です。検査時の苦痛が心配な方は、これらの手法に対応しているかを事前に医療機関へ確認すると安心です。
大腸内視鏡検査では、腸内を膨らませて視野を確保するために空気を注入するのが一般的ですが、この空気が原因で検査後にお腹の張りや痛みを感じることがあります。
そこで、痛みや膨満感の軽減に有効な方法として「炭酸ガス(CO₂)」の使用が注目されています。
空気と比べて炭酸ガスは腸壁からすばやく吸収されるため、膨満感が早く引く
ガスによる圧迫が軽く、より快適な検査が可能
過去にお腹の張りや痛みに悩んだ経験がある人に特におすすめ
この方法はすべての医療機関で導入されているわけではないため、検査予約時に「炭酸ガスを使用しているかどうか」を事前に確認しておくと安心です。
検査中の快適さを重視したい方は、積極的に導入施設を選ぶことを検討してみてください。
なお、えさか駅前にしごりおなかとおしりのクリニックでは、痛みや膨満感を軽減するために炭酸ガス(CO₂)を使用しています。
内視鏡専門医のいる病院を選ぶことで、検査中の痛みを軽減できる可能性があります。
日本消化器内視鏡学会専門医、日本消化器病専門医、日本消化器がん検診学会総合認定医などが、内視鏡に関わる専門医です。
検査中の痛みは、担当する医師の技術によって大きく左右されます。
特に大腸は屈曲が多く、内視鏡を無理なく挿入するには高度なテクニックが必要とされます。
そのため、豊富な経験と高い技術を有した内視鏡専門医が在籍している病院を選ぶことが重要です。
さらに最新の機器や低侵襲な挿入法を積極的に取り入れている病院であれば、より快適に検査を受けられるでしょう。
病院のホームページなどで医師の資格情報を確認するのも一つの方法です。
大腸内視鏡検査の痛みを軽減するためには、リラックスして検査を受けることが大切です。
精神的な緊張は、身体の筋肉をこわばらせるだけでなく、痛みに対する感受性も高めてしまいます。
特に大腸内視鏡検査では、お腹に力が入ることで腸が収縮して内視鏡の進行が難しくなり、結果として痛みが強くなることがあるのです。
また、鎮静剤の使用もリラックス効果を高める手段の一つです。
不安や恥ずかしさが強い場合は、事前に医師に相談することで、よりリラックスして検査を受けられるでしょう。
大腸内視鏡検査の痛みに関するよくある質問をまとめました。
ここでは上記3つの質問についてそれぞれ解説します。
大腸内視鏡検査で痛みが発生しやすい部位として、以下が挙げられます。
痛みが発生しやすい部位 | 理由 |
---|---|
S状結腸・横行結腸 | 横隔膜に固定されていない部位で、腸が自由に動きやすいため、内視鏡が挿入される際に腸管が引き伸ばされたり押されたりして痛みを感じやすくなる |
脾彎曲(ひわんきょく)・肝彎曲(かんわんきょく) | 腸管の曲がりが強いために内視鏡が通過しにくく、痛みを感じやすい |
挿入技術や使用する内視鏡の種類、患者さんの体型などにより痛みの程度が変わるため、経験豊富な医師による検査を受けることが大切です。
大腸内視鏡検査中にポリープを切除する処置が行われることがありますが、基本的に切除そのものに痛みはありません。
ただし切除するポリープの位置や内視鏡の操作方法によっては、腸が引っ張られるなどして一時的に不快感を覚えることがあります。
腸管が過度に伸ばされるとその周囲にある末梢神経が刺激され、鈍い痛みに似た感覚を生じるケースがあるためです。
そのような場合に備えて、鎮静剤を使ってリラックスした状態で治療を行う病院も多くあります。
大腸内視鏡検査では空気や炭酸ガスを注入して腸を広げるため、終了後もしばらくお腹の張りや軽い腹痛を感じることがありますが、多くの場合は自然に解消するため心配ありません。
ただし検査中にポリープの切除が行われた場合、ごく稀に起こる合併症として、腸に小さな穴が空いてしまう『穿孔』が生じることがあります。
この場合は強い痛みが出るため、すぐに病院を受診する必要があります。
検査後に強い痛みや出血がある場合は、放置せず早めに担当医に連絡しましょう。
大腸内視鏡検査で痛みを感じやすい人の特徴として、痩せ体型・小柄体型の人、炎症性腸疾患のある人、腸の神経が過敏な人、便秘気味な人などが挙げられます。
しかしこのような人でも、鎮静剤の使用や痛みの少ない挿入法などの工夫によって痛みを軽減することが可能です。
検査中の痛みが心配な場合は、医師にその旨を事前に相談しておくとよいでしょう。
えさか駅前にしごりおなかとおしりのクリニックでは、日本消化器内視鏡学会専門医、日本消化器病専門医、日本消化器がん検診学会総合認定医といった専門医が苦痛を軽減した大腸内視鏡検査を行っています。
鎮静剤を使用することでウトウトとした状態で検査が受けられるため、痛みが心配な方はぜひ当院まで気軽にご相談ください。