大腸ポリープは、生活習慣や加齢、遺伝などさまざまな要因で発生しますが、ストレスも間接的なリスク因子とされています。
ストレスが直接ポリープを生むわけではありませんが、腸内環境の悪化や便通異常、食生活の乱れを通じて、結果的に腸に負担をかけ、ポリープができやすい状態を引き起こすのです。
本記事では、以下の内容について解説しています。
- ストレスが大腸ポリープのリスクになる仕組み
- ストレス以外の原因や危険因子(食生活・遺伝・加齢など)
- ポリープががん化する確率とその予防法
- 大腸ポリープの検査方法と特徴
ストレスの影響を軽視せず、生活習慣を整えることが大腸ポリープの予防と早期発見につながります。
ストレスは大腸ポリープの原因の一つ
ストレス自体が直接大腸ポリープの原因となるわけではありませんが、ストレスによって食生活や生活習慣が乱れることで、結果的に大腸ポリープのリスクが高まると考えられています。
大腸ポリープの発生メカニズムは完全には解明されていませんが、遺伝的要因と生活習慣などの環境的要因が関与すると考えられています。
遺伝子の異常であるという説がありますが、それだけでポリープや大腸がんが発生するのではなく、そこに加わる外的な要因が必要であるともされているのです。
その外的要因のうちの一つに、ストレスが関係します。
以下では、ストレスがどのように生活習慣に影響し、それが大腸ポリープのリスクとなるのかを解説します。
ストレスが大腸ポリープを引き起こす理由
大腸ポリープが発生するのは、遺伝子の異常に外的要因が加わることが原因と考えられています。
ここでは、外的要因を軸に、ストレスが大腸ポリープを引き起こす理由を紹介します。
食生活の偏り
ストレスによって食生活が偏ると、大腸ポリープの原因になる可能性があります。
人はストレスがかかると、以下のようなしくみでホルモンバランスが乱れます。
- コルチゾールが増える……糖を溜め込むストレスホルモン
- ノルアドレナリン・ドーパミンが増える……食欲を増進させるホルモン
- セロトニンが減る……コルチゾールの分泌で抑制されて食欲の歯止めが効かなくなる
他にも『エモーショナル・イーティング』という、イライラしたり落ち込んだりしているときに食べて落ち着くという、感情的な食事をするようになります。
その際、ジャンクフードや甘いものが選ばれやすいです。
ストレスによりホルモンバランスが乱れ、過食や偏食などの食生活の乱れを招きやすくなり、腸への負担の一因になると考えられます。
便通の異常
便通の異常はストレスで引き起こされることがあります。
腸は脳の状態の影響を受けやすく、ストレスがかかると自律神経のバランスが乱れ、腸の蠕動運動がスムーズに行えなくなり、便秘や下痢が引き起こされます。
その状態が慢性的に続くと腸に負担をかけてしまいます。
また、便秘の場合に硬い便が滞留する部位は、大腸ポリープができやすいとされる、肛門に近い直腸とS状結腸です。
便秘になると、悪玉菌が繁殖していて有害物質の量も多く含む便になり、直腸とS状結腸に長く滞留するのです。
便通の異常は腸に負担をかけ、長期的には腸内環境の悪化や炎症を引き起こしやすくなります。これらが大腸ポリープのリスクを高める可能性があります。
腸内フローラの乱れ
ストレスにより腸内フローラ(腸内細菌叢)が乱れると、大腸ポリープの発症リスクが高まります。
腸内フローラは善玉菌と悪玉菌・日和見菌がバランスをとりながら棲息している、細菌の生態系のことです。
腸内フローラはストレスによる自律神経の乱れや悪玉菌を増やすような食生活、加齢による善玉菌の減少などによってバランスを崩します。
腸内フローラの乱れは、腸管免疫の低下や炎症を招き、さまざまな腸疾患のリスクを高めると考えられていますが、大腸ポリープとの直接的な因果関係は現在も研究段階です。
ストレス以外の大腸ポリープの原因・危険因子
ストレスは大腸ポリープの原因として、直接的ではなくても関係する範囲が広い因子といえます。
そのためストレス以外にも、大腸ポリープの原因・危険因子を理解しておくことも大切です。以下に整理しました。
原因・危険因子 | 解説 |
---|---|
食生活の偏り | 高たんぱく・高脂肪の食事、赤身肉・加工肉の過剰摂取がリスクを高め、肥満にも関与する。 |
遺伝 | 家族に大腸がんやポリープ患者がいると2〜3倍リスクが高まる。家族性大腸腺腫症やリンチ症候群に注意。 |
加齢 | 50歳以降は細胞の異常蓄積が進み、腸の動きも鈍化。40歳を過ぎたら検査を推奨。 |
生活習慣(喫煙・飲酒) | 喫煙は腸の細胞にダメージ、飲酒は腸を刺激し下痢・神経過敏に。ともに腸に負担をかける。 |
高血圧・脂質異常症・糖尿病 | これらの生活習慣病はポリープやがんのリスク因子であり、1つ発症すると他の病気も誘発する傾向にある。 |
大腸ポリープの検査内容
大腸ポリープには、4つの検査があります。
- 大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)
- 便潜血検査
- 大腸透視検査(バリウムと空気を肛門から入れる検査)
- 大腸CT
中でも大腸内視鏡検査は、大腸ポリープを直接観察することが可能です。
つらい・苦しい・痛いといったイメージが強い検査ですが、最近は鎮静剤を使用してリラックスした状態で受けられます。
大腸ポリープの予防方法
大腸ポリープを予防するには、生活習慣を見直すことを前提として、中でも食生活で気をつけたいことを紹介します。
- 赤身肉・加工肉(ハム・ソーセージなど)を過剰に摂取しない
- 食物繊維を積極的に摂る
- 糖質を控える
- ヨーグルト・ラクトフェリンを摂る(国立がんセンター調査済)
- ビタミンDを摂る(卵がおすすめ。食べ物で摂る)
ビタミンDは熱に強いため、卵の料理法は問いません。1日1個がおすすめです。
大腸ポリープはがんになる?確率は?
大腸ポリープががんになる確率は、ポリープの種類によって変わります。
ポリープの種類は『腫瘍性ポリープ』と『非腫瘍性ポリープ』があります。整理すると以下の通りです。
- 腫瘍性ポリープ
- 悪性腫瘍(大腸がん)
- 良性腫瘍(腺腫)
- 非腫瘍性ポリープ
- 過形成性ポリープ
- 炎症性ポリープ
- 過誤腫性ポリープ
- その他
この中でがんになる可能性があるとされる良性腫瘍について、以下は確率の一例です。
- 〜5mm:1.8%
- 5~10mm:9.1%
- 10~20mm:32.9%
- 20mm以上:67.8%
※参考:National Library of Medicine「内視鏡的に切除された大腸ポリープにおける腺癌の発生率」
大きさによってがん化率は異なります。10mmを超えると急に確率が上がるのが分かります。
日本では、6mm以上のポリープが見つかった場合は切除することを強く推奨しています。
大腸ポリープの多くは良性ですが、特に腺腫性ポリープは大きくなるほどがん化のリスクが高まるため、早期発見・早期切除が推奨されます。
まとめ
ストレスは万病のもとと昔から言われていますが、大腸ポリープについても同じことがいえます。
しかしストレスをゼロにすることはとても難しいことであり、結局は上手に付き合っていく必要があります。
えさか駅前にしごりおなかとおしりのクリニックでは、リラックスして大腸内視鏡検査を受けて頂くために、トイレ・Wi-Fi・テレビ付きの個室を完備しています。
検査後のリカバリー室はアロマ空間で、医師指導のスープやお茶・お菓子をお召し上がりいただきながらゆっくり過ごして頂きます。
検査でのストレスがないよう配慮してお待ちしております。早期発見・早期治療のために、どうぞご検討ください。